イッチンとは|盛り上がった線と点を描く技法

石の台に重ねられた輪花形の皿2枚。金茶に焼けた肌の上に、泥漿を絞り出して盛り上げた唐草と葉の線が立体的に走っている

イッチンとは、先の細い筒状の道具から泥漿(でいしょう)や釉薬を絞り出し、器の表面に立体的な線や点を描く技法です。

ケーキのホイップクリームを絞り出すように、線そのものが泥の厚みによって盛り上がります。九谷焼の「盛絵」などに使われるほか、西洋では「スリップウェア」と呼ばれ、古くから世界各地で親しまれてきました。

白い泥を使う場合は、粉引や刷毛目と同じ白化粧土の技法の仲間にあたります。同じ材料でも、掛けるか、刷くか、絞り出すかで、器の顔はまったく変わります。

道具と名前の由来

かつては、伝統的な絵の具「一珍(いっちん)」を入れる道具、竹筒に鳥の羽軸をつけたものなどが使われていました。この名がそのまま技法の名になったとされています。

現代ではゴム製のスポイトやプラスチック製のチューブなど、扱いやすい道具が広く使われています。先端の口径を替えることで、線の太さを自在に変えられます。

イッチンでできること

  • 盛り上がった線 筆で描いた線と違い、泥の厚みで立体的に隆起します。指でなぞると触れてわかります。
  • 点の連続 絞る力を断続させることで、粒のような点が並びます。ドット文様の定番です。
  • マーブル模様 泥が乾ききる前に鳥の羽やクシで引っ掻くと、線が流れて矢羽根のような幾何学模様になります。スリップウェアの代表的な表現です。
  • 釉の溜まり 盛り上がった線の脇に釉薬が溜まり、単色でも濃淡が生まれます。

他の白化粧技法との違い

技法 化粧土のかけ方 見え方
イッチン 筒から絞り出す 白い線が立体的に盛り上がる
粉引 器ごと浸す、全面に流す 全体がやわらかい乳白色に
刷毛目 粗い刷毛で塗る 刷毛の筋が走り、白の濃淡が出る

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FAQ

イッチン技法とはどのような技法ですか?どのような道具を使うのですか?
スポイトや専用の筒に泥漿や釉薬を入れ、器の表面にホイップクリームを絞り出すようにして立体的な絵柄や線を描く装飾技法です。西洋ではスリップウェアとも呼ばれます。かつては伝統的な絵の具「一珍」を入れる道具(竹筒に鳥の羽軸をつけたものなど)が使われたことからこの名がつきましたが、現代ではゴム製のスポイトやプラスチック製のチューブが広く使われています。
イッチンで作られた器にはどのような魅力がありますか?
最大の魅力は手で触れても楽しめる、ぷっくりとした立体感と柔らかな筆致です。筆で描く絵付けと異なり、線そのものが泥の厚みで盛り上がるため、器に独特の陰影と豊かな表情が生まれます。また泥が乾ききる前に鳥の羽やクシで引っ掻くことで、マーブル模様のような美しい流線型の幾何学模様を作り出すこともできます。
イッチンの盛り上がりは欠けやすいですか?
釉薬をかけて本焼きしてあれば、通常の使用で欠けることはありません。ただし盛り上がった線は器のなかで最も高い部分なので、重ねて収納するときは間に布を挟んでください。金属たわしで強くこするのも避けたほうが安全です。

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