粉引とは|白化粧土がつくる、育つ白のうつわ

粉引(こひき)とは、鉄分の多い赤茶色や灰色の素地に白い化粧土を施し、その上から透明釉をかけて焼く技法です。
その見た目が「白い粉を吹いた(引いた)ように柔らかく美しいこと」から粉引と呼ばれています。はじまりは朝鮮半島にあります。源流は15世紀ごろの李朝で焼かれた粉青沙器で、中国の真っ白な白磁に憧れた陶工たちが、身近にある鉄分の多い土を白く見せるために生み出した知恵でした。1592年以降、九州へ渡った朝鮮の陶工たちがこの技法を日本に伝え、佐賀では粉引唐津が唐津焼の顔のひとつになります。いまも各地で焼かれていて、当店が扱う粉引は滋賀・信楽の古谷製陶所によるもの。1970年からこの地で続く窯です。
白化粧という大きな技法のなかで、全面に均一にかけたものが粉引。刷毛の跡を残せば刷毛目、筒から絞り出せばイッチンになります。
三層構造という正体
粉引の器を断面で見ると、素地・化粧土・透明釉の三層になっています。この構造が、粉引のすべての性質を決めています。
白磁のように土そのものが白いわけではありません。色土の上に、白い層をもう一枚重ねている。だから縁や高台の際では化粧土が薄くなり、下地の赤茶がのぞきます。この「白の縁から赤が出る」ことこそ、粉引の見どころです。
そして中間の化粧土の層は、釉薬ほど緻密ではありません。水分を含みます。これが「育つ」性質の正体です。
なぜ育つのか
表面の透明釉には、焼成後の収縮差で細かな貫入が入ります。その隙間からお茶やコーヒーが染み込み、化粧土の層に広がっていきます。
- 買った日 冷たく均一な白。まだ変化は始まっていません。
- 半年 少し落ち着き、貫入の線がうっすら見えはじめます。
- 数年 葉脈のような貫入の線と、やわらかい灰白色が現れます。
染み込み方にむらが出て、雲のような濃淡(雨漏り=あまもり)が現れることもあります。これを経年美化と呼び、汚れではなく時間の記録として受け取ります。
長く使うために
吸水するということは、少しだけコツが要るということでもあります。難しくはありません。
- 使い始めに目止めを 米のとぎ汁で20〜30分ほど弱火で煮ると、でんぷんが貫入を埋め、匂いや色の染みが入りにくくなります。
- 使う前に水にくぐらせる 乾いた器にいきなり醤油やコーヒーを注ぐと、その色だけが濃く入ります。先に水を吸わせておくと均一に育ちます。
- 洗ったら完全に乾かす 生乾きのまましまうと、化粧土の層にカビが出て黒い斑点になります。伏せて一晩置くのが確実です。
- 食洗機・電子レンジ・漂白剤は避ける 高温と急激な乾湿は、化粧土と釉薬の境目に負担がかかります。
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三年後の白を選ぶ
買った日は冷たく均一な白でも、数年後には葉脈のような貫入が現れます。育てる楽しみのある一枚を探してみてください。
皿・プレートを見るFAQ
粉引とはどのような技法ですか?名前の由来は何ですか?
「器が育つ」とはどういうことですか?
粉引の白は白磁とどう違いますか?
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