下絵付けとは|釉の下だから、色が落ちない

工房の木棚に重ねられた白磁の八角皿。縁に赤い雷文、内側に藍の線描きで花が描かれ、手前の一枚はまだ無地のまま

下絵付け(したえつけ)とは、素焼きを終えた素地に直接絵の具で絵を描き、その上から透明な釉薬をかけて高温で焼き上げる技法です。

絵が釉薬というガラスの層の下に閉じ込められるため、経年劣化や摩擦で剥がれることがありません。洗剤にも食洗機にも強く、日常づかいの器にもっとも適した絵付けです。

代表格は呉須による染付で、有田焼・波佐見焼の青白磁がこれにあたります。鉄絵(てつえ)で描く志野や織部の文様も、同じ下絵付けの仲間です。

いつ描くのか

下絵付けが行われるのは、器づくりの全工程のなかで7番目にあたる位置です。

  • 成形・削り 轆轤などで形をつくり、高台を削り出します。
  • 素焼き 800℃前後で低温焼成し、水を吸う多孔質の素地にします。
  • 下絵付け この多孔質の面に筆で描きます。素地が水分を吸うため、筆を置いた瞬間に絵の具が定着します。
  • 施釉・本焼き 透明釉をかけ、 1,200〜1,300℃で焼成します。

素焼きの素地は、和紙のように絵の具を吸い込みます。一度置いた線は消せず、描き直しがききません。この一発勝負の緊張感が、下絵付けの線に独特の切れを与えています。

下絵付けと上絵付けの違い

項目 下絵付け 上絵付け
描く面 素焼きの素地。ざらついている 本焼き後の釉面。つるつるしている
焼成温度 1,200〜1,300℃ 700〜800℃
使える色 高温に耐える青・鉄褐色・黒など 赤・黄・緑・紫・金・銀まで自由
見え方 釉の下に沈み、水彩画のように潤う 釉の上に乗り、ぷっくりと立体的
耐久性 非常に高い。剥がれない 摩擦と強い洗剤に弱い

両者は対立するものではなく、一つの器に重ねて使われることもあります。染付で骨格を描き、その上から赤絵を重ねる金襴手がその例です。

手に取って確かめる

下絵付けか上絵付けかは、指先で簡単に判別できます。絵の上を指でなぞってみてください。

まったく段差を感じず、周囲の釉面と同じつるりとした手ざわりなら下絵付けです。わずかに絵の具の厚みが引っかかるなら上絵付けです。骨董市でも通用する、道具のいらない確認方法です。

関連記事・用語

関連する用語

くわしく知る

釉の下の線を見る

指でなぞっても段差のない、釉に守られた線。Nokazeでは下絵付けの器を、描いた作り手とともにご紹介しています。

絵付けの器を見る

FAQ

下絵付けとはどのような技法ですか?上絵付けとの違いは何ですか?
最大の違いは絵を描くタイミングと、ガラス質(釉薬)の層の上か下かにあります。下絵付けは素焼きした器の表面に直接絵の具で描き、その上から透明な釉薬をかけて約1,200〜1,300度で焼き上げます。絵がガラス層の下に閉じ込められるため、経年劣化や摩擦で剥がれることがありません。上絵付けは、一度本焼きしたつるつるの表面の上に描き、さらに約700〜800度で焼き付けます。
下絵付けの作品には、どのような魅力がありますか?
一番の魅力はお茶や料理が映える、素朴で深みのある色合いと滑らかな質感です。ガラス層を通して絵を見るため、水彩画のような優しく潤いのある表情が生まれます。上絵付けに比べると高温に耐えられる絵の具の種類が限られるため、青や茶、黒といった落ち着いた色調が主流ですが、その分、日常の食卓に飽きずに寄り添う上品さがあります。
下絵付けの器は電子レンジで使えますか?
磁器であれば、多くの場合使えます。絵が釉の下にあるため、加熱で色が変わることもありません。ただし金彩・銀彩が併用されている器はレンジ不可です。金属を含むため火花が出ます。また陶器の場合は、絵付けではなく素地の吸水性のほうに注意してください。

この記事の器を買う

日本の器をはじめから知りたい方へ。歴史、陶器と磁器の違い、素材、手入れまでを一本にまとめています。→ 日本の器・完全ガイド|はじめての一枚から歴史まで

Shipping fee

京都の倉庫から世界へ。送料は地域ごとの一律。

1,000円

沖縄・北海道は1,600円

30,000円以上で送料無料

その他追加で発生する税金追加費用なし

ありません(表示価格は消費税込み)

上記以外の国・地域はご注文手続き時に送料が自動計算されます。

配送ポリシーを見る

Contact

サービス内容、パートナーシップ、ご注文に関するお問い合わせはお気軽にどうぞ。

お問い合わせ

Newsletter

新着の入荷情報やお得な情報をお届けします。利用規約とプライバシーポリシーをご確認の上、ご登録ください。