登り窯とは|斜面をのぼる、連なる部屋

登り窯(のぼりがま)とは、丘の斜面に沿って複数の焼成室を階段状に連ねた薪窯です。最下部の焚き口で燃やした炎と熱気が、上の部屋へとリレーのように順番に流れていきます。
前の部屋の熱を次の部屋が受け継ぐため燃料効率が非常に高く、一度の窯焚きで大量の器を焼けるのが大きな特徴です。備前焼・信楽焼・萩焼などの産地で、今も使われています。
単室の穴窯を進化させた形式で、17世紀以降、日本各地に広まりました。
部屋ごとに焼き分ける
登り窯の各部屋には、側面から薪を追加する投入口がついています。部屋ごとに温度を調整できるということは、部屋ごとに違う種類の器を焼けるということです。
もっとも下の部屋は温度が上がりにくく、上の部屋は熱を受け継いで高温になる。この差を利用して、下の部屋には土物、上の部屋には磁器、といった焼き分けが行われました。一度の窯焚きで数百から数千点を焼く産業的な効率は、この構造から生まれています。
ただし、効率が上がるぶん、灰と炎が器に直接当たる度合いは穴窯より穏やかになります。自然釉の景色を最大限に出したい作り手が、いまも穴窯を選ぶのはそのためです。
薪窯と電気・ガス窯の違い
| 項目 | 薪窯(登り窯・穴窯) | 電気窯・ガス窯 |
|---|---|---|
| 温度管理 | 人が薪をくべて調整する | 精密に設定・維持できる |
| 焼き上がり | 一点ずつ違う。偶発性が高い | 均一・安定。狙い通りに出る |
| 灰の影響 | 灰が降り、自然釉や焦げが出る | 灰は出ない |
| 焼成時間 | 数日〜一週間以上 | 1〜2日 |
再現性が低く唯一無二の表情を、陶芸の世界では「景色」と呼びます。詳しくは景色の記事をご覧ください。
登り窯が生む景色
- 自然釉(灰釉) 舞い散った薪の灰が高温で溶け、器の表面で天然のガラス質になったもの。
- 火色(ひいろ) 炎が直接当たった部分と影になった部分で生まれる、赤から黒への美しいグラデーション。
- 焦げ・炭化 灰や炭が器に付着したり、酸素が少ない状態で焼かれたりすることで現れる、深みのある黒い模様。
- 窯変 予期せぬ炎や灰の動きによって生じる、偶発的な変化の総称。
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部屋のどこに置かれたかで、色も艶も変わります。Nokazeでは薪窯の器を、作り手の背景とともにご紹介しています。
焼き締めの器を見るFAQ
登り窯とはどのような構造の窯ですか?
現代のガス窯や電気窯と薪窯の違いは何ですか?
登り窯と穴窯の違いは何ですか?
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