砥部焼とは?四国が誇る、温かい青白磁

日本の各産地の焼き物は、静寂の中で侘び寂びを感じる、自然本来の美しさを楽しむところから始まっており、六古窯の焼き物を関しては、瀬戸焼意外、無釉の歴史からスタートしました。しかし、砥部焼(とべやき)は違います。愛媛県砥部町で作られるこの白磁は、温かく、はつらつとして明るい焼き物です。

白い器体は厚く、手のひらに馴染む安心感があります。藍色(呉須)の手描き絵付けは生き生きとしていて、どこか遊び心さえあります。そして砥部焼は、日本の焼き物の中でも特に「丈夫さ」を誇りにしている磁器です。

毎日の食卓で使い、気兼ねなく洗い、何十年もかけて馴染ませていく。それが砥部焼の正しい使い方です。


砥部焼とは何か

砥部焼は、愛媛県砥部町(とべちょう)で作られる白磁の焼き物です。四国最大の陶磁器産地です。その特徴は、肉厚で丈夫な器体、白みがかったクリーミーな白磁釉、そして呉須(ごす)——コバルト系の藍色顔料を使った手描きの下絵付けにあります。

純白に映える藍色という組み合わせは、日本陶磁器の中で砥部焼を一目でわかる存在にしています。備前や信楽のような土の色調の炻器よりも明るく、有田焼のような精緻な磁器よりも温かく手作り感があります——砥部焼はその中間にある、独自の位置づけを持っています。


サステナブルな背景から生まれた砥部焼の歴史

砥部焼の物語は、陶磁器ではなく砥石から始まります。

砥部町はかつて「砥石(とうし)」の主要産地でした。刃物を研ぐための天然砥石を採掘・加工する産業が盛んで、その過程で大量の砥石の粉末が廃棄物として生じていました。

18世紀後半、はこの廃棄物を減らす解決策として浮かび上がったのが、砥石の粉末(砥石粉)を磁器の原料として活用することです。そして、18世紀中に、磁器生産が本格的に始まりました。砥部焼は現代でいう、サステナブルな背景から生まれた産地なのです。

一方で、良質な磁器を作るための技術は当初不足していたため、有田などの先進産地から職人が招かれ、技術が移植されました。19世紀初頭には砥部独自のスタイルが確立し、窯元のコミュニティは自立した産業として根を張るようになりました。

砥部焼を他の産地と差別化したのは、ひとつの大きな選択でした。器の生地を「肉厚」という設計思想です。有田焼が薄さと透明感を品質の証とする道を選んだのに対し、砥部の陶工たちは丈夫で厚みのある器体を選びました。これは技術的な限界ではなく、「日常使いの器は実際の使用に耐えられるものであるべきだ」という哲学から来た選択でした。


砥部焼の作り方

砥部焼の器は、細かく砕いた石材と地元の粘土を混合して作った磁器土で作られます。焼き上がりは不透明なクリーミーホワイトです。有田の透明感ある白とは異なる、より温かみのある白さです。器の厚みは砥部焼の製作における意図的な選択です。職人は、強度上の必要性以上に器を厚く作ります。

砥部焼の特徴、呉須の絵付け

成形・乾燥を経たあと、手描きの絵付けが施されます。使われるのは「呉須(ごす)」——コバルト系の顔料で、透明釉をかけて焼くと豊かな濃藍色に発色する下絵付け顔料です。絵付けはすべて手描きです。版型や転写は使いません。すべての線が、その日その職人の手から生まれます。

砥部焼の伝統紋様には以下のものがあります。

唐草(からくさ):蔓草が流れるように繰り返す連続紋様です。中国からオランダを経由して日本に伝わった古典模様で、砥部焼を代表するモチーフのひとつです。

縞(しま):太細の縦縞・横縞です。大胆でグラフィカルな表情があります。

とんぼ:トンボを描いた文様です。シンプルで力強いです。

魚:魚をモチーフにした柄です。沿岸地域らしいモチーフです。

幾何学紋様:円・菱形・格子などです。即興的な勢いを持つものも多いです。

その他にも様々な絵付けが施されます。絵付けがすべて手仕事である以上、まったく同じ砥部焼は存在しません。筆の速さ・力・流れは、一点ごとにわずかに異なります。

砥部焼の焼成過程

砥部焼は絵付けの上に透明釉を施釉し、高温で焼成します。焼く前は地味な灰褐色だった呉須が、窯の中で劇的に変化し、砥部焼を象徴する鮮やかなコバルトブルーへと生まれ変わります。


砥部焼の特徴

砥部焼の魅力を引き立てる特徴をこの章では説明します。

丈夫さ

砥部焼の意図的な肉厚設計は、日本の手作り陶磁器の中でも特筆すべき耐久性を生みます。これは設計上の選択です。多くの砥部焼は食洗機対応・電子レンジ対応で、手作り陶磁器としては異例に実用的です。

手描きの個性

すべて手描きである以上、すべての器は一点物です。同じ唐草模様の砥部焼の茶碗が二つあっても、筆致の勢いはわずかに異なります。これは人の手の痕跡であり、それが価値の核心にあります。

温かみのある白

砥部の白は、工業製品の冷たい輝く白ではありません。もっと柔らかく、クリーミーで温かみがあります。木のテーブルの上で、季節の料理とともに、朝の光の中にあってこそ映える白です。

使い込むほど深まる青

長く使い続けた砥部焼の愛用者からは、「呉須の青が年々深みを増すように感じる」という声をよく聞きます。視覚的な慣れなのか、微細な表面変化なのか。いずれにせよ、使い込んだ砥部焼には新品にはない深みと落ち着きが宿ります。


百軒の窯元が集まる、現代の砥部

現在、砥部町には約100軒の窯元が集中しています。人口約2万人の小さな町に、これほどの窯元が密集しているのは驚くべきことです。町のメインロードには窯元のギャラリーと直売店が連なり、焼き物の町としてのアイデンティティが生活の中に溶け込んでいます。

砥部焼観光センター「炎の里」は訪問者の主要な入口で、製作工程の見学・多数の窯元の作品展示・陶芸体験教室を提供しています。

砥部焼まつりは年2回(4月・11月)開催されます。年に1回ではなく2回というのは、生産者と購入者を直接つなぐことへの砥部の深い関心を示しています。まつりでは特別価格での販売や工房見学、作家との交流が楽しめます。


砥部を訪れる

砥部町は愛媛県の県都・松山市の南約20kmに位置し、松山市内からバスで約45分でアクセスできます。松山市へは東京・大阪・名古屋などから飛行機が就航しており、四国への旅の拠点として便利です。四国は日本の本州・北海道・九州と比べ、海外からの観光客が少ない島です。砥部への旅は、京都や東京のように混雑することなく、職人と直接触れ合える、本物のゆとりある体験ができます。

砥部焼は、大切に飾られることを望みません。毎日使われることを望みます。それが砥部焼を買うべき最大の理由です。

また砥部町には、「仙波渓谷(せんばけいこく)」という非常に美しい自然を見ることができる渓谷があります。この渓谷では、大岩の隙間を縫うように激流が走るダイナミックな自然を体感することができます。

焼き物そして、自然を堪能できる旅の目的地として、愛知県砥部町は最適です。


砥部焼に関する、よくある質問(FAQ)

Q1. 砥部焼(とべやき)にはどのような特徴がありますか?

砥部焼は、温かみのあるクリーミーな白磁に、コバルトブルーの藍色顔料(呉須)で描かれた生き生きとした手描き絵付けが特徴です。他の産地の磁器に比べて「肉厚で非常に丈夫」に作られており、手作りならではの温もりと、毎日気兼ねなく使える実用性を兼ね備えています。

Q2. 砥部焼は電子レンジや食器洗浄機(食洗機)に対応していますか?

はい、対応しています。職人があえて器の生地を厚く設計しているため耐久性が非常に高く、一般的な手作りの陶磁器としては異例なほど現代の生活(電子レンジ・食洗機)に馴染む実用的な器です。

Q3. 砥部焼が「サステナブルな背景から生まれた」と言われるのはなぜですか?

18世紀後半、かつて砥石の主要産地だった砥部町で、加工の際に大量に発生していた「砥石の粉末(廃棄物)」を有効活用する解決策として磁器の製造が始まったためです。現代でいうリサイクルやサステナブルの思想が、産地の誕生そのものに深く関わっています。

Q4. 砥部焼の代表的な絵柄(紋様)には何がありますか?

最も代表的なのは、蔓草(つるくさ)が流れるように描かれた「唐草(からくさ)」です。その他にも、グラフィカルな「縞(しま)」、力強い「とんぼ」、沿岸地域らしい「魚」、即興的な「幾何学紋様」などがあります。これらはすべて職人による手描きのため、一点ごとにわずかな個性が宿っています。

Q5. 砥部焼の産地を訪れる際のみどころやアクセスは?

愛媛県松山市からバスで約45分の場所にあり、町内には約100軒の窯元が集中しています。製作体験ができる「炎の里」や、年2回(4月・11月)開催される「砥部焼まつり」が人気です。また、自然豊かな「仙波渓谷(せんばけいこく)」などの観光名所もあり、ゆったりとした旅を楽しめます。

日々に寄り添う「サステナブル」で「丈夫」な白磁

18世紀後半、砥石の削りカスを再利用するという現代のサステナブルな視点から誕生した砥部焼は、繊細さを競う有田焼とは対照的に、あえて「肉厚で丈夫であること」を独自のアイデンティティとして選び取りました。

砥部焼を象徴する「クリーミーな白」と「呉須の深い藍色」のコントラストは、四国の穏やかな風土を感じさせ、和食のみならず洋食や現代的なインテリアとも見事に調和します。すべてが職人による手描きであるため、伝統的な唐草模様や幾何学文様の一つひとつに、筆致の勢いや呼吸といった「人の手の温度」が宿っています。

現代の生活において、食洗機や電子レンジを気兼ねなく使える堅牢さを備えながら、作家の個性が光る一点物であるという贅沢。それは、砥部焼が単なる伝統工芸品ではなく、使うほどに愛着が増していく「一生ものの道具」であることを示しています。

約100軒の窯元がひしめく砥部の町で作られる器は、飾られることよりも、食卓で家族に囲まれ、日々使い込まれることを何よりの喜びとしています。丈夫で温かく、そして遊び心あふれる砥部焼を、ぜひあなたの毎日のパートナーとして迎えてみてください。


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