刷毛目とは|白化粧土を刷毛で掃いた跡

白い背景に置かれた刷毛目の平鉢。赤土の地に白化粧土が刷毛で横に掃かれ、筋のあいだから下地の茶色が透けている

刷毛目(はけめ)とは、白化粧土を粗い刷毛で塗り、勢いのある刷毛の跡をそのまま景色として残す装飾技法です。

朝鮮由来の技術で、唐津焼や民陶に多く見られます。粉引・三島(みしま)と並ぶ白化粧装飾のひとつです。

刷毛の動きがそのまま器の表情となり、一枚ごとにのびやかで手仕事らしいリズムが宿ります。

刷毛を当てるのは一瞬

化粧土をかけるのは、器が半乾き(革のような硬さ)のあいだだけです。完全に乾いた素地にかけると化粧土だけが先に縮んで剥がれ、濡れすぎていると器そのものが崩れます。

刷毛目では、その短い時間のなかで刷毛を一気に走らせます。轆轤を回しながら刷毛を当てれば、白い帯が同心円状に走る。止めて縦に掃けば、まっすぐな筋になる。

刷毛の毛の粗さ、含ませた化粧土の量、走らせた速度。この三つで、白の濃さと筋の間隔が決まります。やり直しはききません。

刷毛目・粉引・三島の違い

技法 化粧土のかけ方 見え方
刷毛目 粗い刷毛で塗り、跡を残す 白の筋が走り、下地が透ける
粉引 器ごと浸す、全面に流す 全体がやわらかい乳白色に
三島 印花や線彫りのくぼみに埋める 白い象嵌文様が浮かぶ
イッチン 筒から絞り出す 白い線が立体的に盛り上がる

使い込むと変わる

刷毛目の器は吸水します。化粧土の層は釉薬ほど緻密ではなく、表面の透明釉に入った貫入から、お茶や油分が少しずつ染み込んでいきます。

白い筋のあいだに色が入り、下地の赤茶との境目がやわらかくなっていく。この変化を経年美化と呼びます。使い始めに目止めをしておくと、染みの入り方が均一になります。

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白い筋の間隔と、下地の透け方。刷毛目の器は、作り手が刷毛を走らせた速さがそのまま残ります。

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FAQ

刷毛目と粉引はどう違うのですか?
どちらも白化粧土を使いますが、刷毛目は刷毛の跡をあえて残す技法、粉引は全体を均一に白く覆う技法です。刷毛目のほうが動きのある表情になり、下地の色が筋のあいだから透けます。
刷毛目の器は使ううちに変化しますか?
はい。化粧土や貫入に茶渋や油分が少しずつ染み込み、使い込むほど風合いが深まります。この「育つ」変化も刷毛目の楽しみのひとつです。使い始めに目止めをしておくと、染みが均一に入ります。
刷毛の跡がむらになっていますが、不良ではありませんか?
不良ではありません。むらこそが刷毛目の景色です。刷毛が浮いて下地が見える部分、化粧土が厚く溜まった部分。その差が一枚ごとの個性になります。均一な白を求めるなら粉引を選んでください。

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