五彩・五彩手とは|九谷を決定づけた5つの色

輪花形の色絵大皿を寄せた写真。赤・緑・黄・紺・金で牡丹と桜、網目文が縁まで隘間なく描き込まれている

五彩(ごさい)とは、赤・緑・黄・紫・紺青の5色を軸に、器面を絵画的に彩る上絵付けの様式です。「五彩手(ごさいで)」とも呼ばれます。

一度本焼きした白磁などの表面に、ガラス質の上絵具を厚めに盛って焼き付けます。厚く盛ることで生じる透明感、光沢、ぷっくりとした立体感が、五彩の最大の特徴です。

中国・明代の「万暦赤絵」などをルーツとし、九谷焼の「九谷五彩」や古伊万里に強い影響を与えました。とくに古九谷の代名詞として知られています。

5色それぞれの役割

  • 赤 酸化鉄の弁柄による朱赤。線描にも面にも使われ、五彩の骨格をつくります。
  • 緑 銅による深い緑。九谷ではもっとも面積を占めることが多く、器の印象を決めます。
  • 黄 アンチモンなどによる不透明な黄。緑と隣り合わせて、彩度の対比をつくります。
  • 紫 マンガンによる赤紫。面積は小さいものの、全体を引き締める役割を担います。
  • 紺青 コバルトによる濃い青。呉須と成分は近いものの、上絵具として釉の上に乗せます。

この5色は、そのまま「余白を残さない」構成につながります。白磁の白を活かす有田の染付とは逆に、五彩は器面を色で埋めていく。同じ磁器でありながら、正反対の美意識です。

染付・赤絵との違い

項目 五彩 染付/赤絵
色数 赤・緑・黄・紫・紺青の5色が基本 染付は藍一色/赤絵は赤が主調
描く位置 釉の上(上絵付け) 染付は釉の下/赤絵は釉の上
構成 器面を埋める絵画的な構図 余白を活かす、または線描で見せる
質感 厚く盛り、透明感と立体感が出る 染付は平ら/赤絵はやや立体

五彩の見どころ

五彩の器を手に取ったら、まず光にかざしてみてください。厚く盛られた緑や紫の絵具が、飴のように光を透かします。この透明感は、絵具を薄く塗ったのでは出ません。

次に指でなぞってください。色と色の境目に、はっきりとした段差があるはずです。一色ずつ、乾かしては次を置く。その積み重ねが、五彩の厚みをつくっています。

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FAQ

陶磁器における五彩とは何ですか?
一度本焼きした白磁などの表面に、主に赤・緑・黄・紫・紺青の5色のガラス質の上絵具を用いて豊かな色彩や文様を描き出す伝統的な上絵付け技法です。中国の明代に発展した「万暦赤絵」などがルーツとされ、日本の九谷焼や古伊万里に強く影響を与えました。ガラス質の絵具を厚く盛ることで生じる透明感、光沢、立体的な質感と、力強く華やかな配色が最大の特徴です。
五彩と染付や赤絵の違いは何ですか?
主な違いは使う色の数と、絵付けをするタイミングにあります。釉薬の下に呉須で青一色の絵を描く染付(下絵付け)に対し、五彩は透明釉をかけて焼いたつるつるの表面に多色の絵具を乗せて再度低温で焼き付ける上絵付けです。また、赤色をベースに金銀などを交える赤絵に比べ、五彩は5色をベースにした色彩豊かで絵画的な表現を指します。
五彩の器は普段使いできますか?
できますが、扱いは上絵付けに準じます。食洗機と研磨剤入りの洗剤は避け、柔らかいスポンジで手洗いしてください。絵具が厚く盛られているぶん、金属のカトラリーが当たると欠けやすいのも事実です。取り皿や菓子皿として使うと、負担が少なく長持ちします。

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