赤絵とは|釉の上に描く、九谷と有田の赤

赤絵(あかえ)とは、赤を主調とした上絵付けの総称です。一度本焼きを終えた釉面の上から低温用の絵具で描き、700〜800℃の上絵窯で焼き付けます。
金彩や緑・黄などと組み合わせて使われることが多く、九谷焼・柿右衛門様式・古伊万里の豪華な色絵磁器を代表する技法です。
藍一色で釉の下に描く染付とは、描く位置も温度も色数も対照的です。両者を一つの器に重ねたものが「金襴手」と呼ばれます。
赤という色の難しさ
赤絵の赤は、酸化鉄を主成分とする「弁柄(べんがら)」を白玉(透明なガラス質の媒材)と練って作られます。この赤は高温に耐えられません。本焼きの1,300℃では黒く沈むか、飛んでしまう。だから釉薬の上に、低温で焼き付けるしかないのです。
そして赤絵の赤は、焼成温度がわずか20〜30℃違うだけで、朱に寄ったり暗く沈んだりします。上絵窯の火加減は、赤絵の作家がもっとも神経を使う工程です。
細く均一な線を引く「赤絵細描(あかえほそがき)」は、九谷焼の最高峰の技法のひとつに数えられます。髪の毛ほどの線を、湾曲した器の面に息を止めて引く。画力そのものが問われる仕事です。
染付と赤絵の違い
| 項目 | 染付 | 赤絵 |
|---|---|---|
| 描く位置 | 素焼きの素地。釉薬の下 | 本焼き後の釉面。釉薬の上 |
| 焼成 | 1,300℃で一度に焼き上げる | 本焼き後、800℃の上絵窯で二度目 |
| 色 | 呉須の藍一色 | 赤を主に、緑・黄・紫・金を併用 |
| 質感 | 平ら。釉の下に沈む | ぷっくりと立体的。指に引っかかる |
| 印象 | 青と白の凛としたコントラスト | 華やかで温かく、動きがある |
赤絵の器を長く使う
赤絵は釉薬の上に絵具を焼き付けているため、摩擦と強い洗剤に注意することが、長く美しく保つ秘訣です。
ガラスコーティングに守られている染付とは異なり、赤絵の絵具は表面に露出しています。金属たわしやクレンザーで強くこすると絵柄が傷つきます。また、食洗機の高圧水流やアルカリ性の強い洗剤は、徐々に色彩を退色させます。柔らかいスポンジと中性洗剤で、やさしく手洗いしてください。
関連記事・用語
関連する用語
- 上絵付けとは|釉薬の上に描く、色が自由な技法
- 五彩・五彩手とは|九谷を決定づけた5つの色
- 古九谷とは|わずか50年で消えた幻の磁器
- 染付とは|藍と白の磁器はどう生まれるか
- 下絵付けとは|釉の下だから、色が落ちない
- やきもの用語集|技法・産地・道具のことば
くわしく知る
赤の細さを見る
髪の毛ほどの赤い線と、盛り上がった色絵の厚み。Nokazeでは絵付けの器を、描いた作り手とともにご紹介しています。
絵付けの器を見るFAQ
赤絵とはどのような技法ですか?染付とは何が違うのですか?
赤絵の器を使うとき、気をつけることはありますか?
赤絵と五彩はどう違いますか?
この記事の器を買う
絵付け・染付
83点 すべて見る日本の器をはじめから知りたい方へ。歴史、陶器と磁器の違い、素材、手入れまでを一本にまとめています。→ 日本の器・完全ガイド|はじめての一枚から歴史まで