素焼きとは|釉薬をかける前の、最初の窯

工房の棚に並ぶ素焼きを終えた鉢。釉薬がかかっておらず、白っぽい素地に轆轤目だけが残っている

素焼き(すやき)とは、成形した器を釉薬をかける前に、低温(約800℃)で焼き固める最初の焼成のことです。

焼くと多孔質の丈夫な「素地」となり、割れにくく扱いやすくなります。また釉薬や絵具ののりが良くなるため、絵付けや施釉の前に欠かせない工程です。

この後、釉薬をかけて1,200〜1,300℃で焼く「本焼き」へと進みます。一つの器が完成するまでに、火は最低二度くぐります。

なぜ低温で焼くのか

乾燥させただけの粘土は、水にあてれば崩れます。素焼きは、この状態から一段階だけ強度を上げる工程です。

700〜800℃という温度は、粘土に含まれる結合水を飛ばし、二度と水に戻らない状態にする最低ラインです。この温度を超えると土は不可逆的に固まり、手で持っても割れなくなります。

しかし完全には焼き締めません。あえて多孔質のまま残すことで、素地が釉薬の水分を吸い、釉が均一に付着するようになります。もし先に高温で焼き締めてしまうと、水を吸わないため釉が流れ落ちてしまいます。

素焼きと本焼きの違い

項目 素焼き 本焼き
温度 約700〜800℃ 約1,200〜1,300℃
目的 釉薬をかけるための下準備 作品を完成させる仕上げ
仕上がり 多孔質。水を吸う 焼き締まり、釉がガラス化する
強度 手で扱える程度 実用に耐える
この間の工程 下絵付けを行う 施釉してから焼く

素焼きのあとに何が起きるか

素焼きを終えた素地には、まず下絵付けが行われます。多孔質の面は和紙のように絵の具を吸い込むため、一度置いた線は消せません。

次に施釉。浸す、流しかける、吹き付ける。素地が釉薬の水分を吸うことで、表面に釉の層が残ります。そして本焼きへ。成形の技法の記事で見た全11工程のうち、素焼きは6番目にあたります。

なお、焼き締めの器は釉薬をかけないため、素焼きを省いて一度で焼き上げることもあります。

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FAQ

素焼きと本焼きの違いは何ですか?
素焼きは釉薬を掛けるための下準備、本焼きは作品を完成させる仕上げです。素焼き(約700〜800℃)は、乾燥した粘土の水分やガスを抜き、手で触れても崩れない強度を持たせます。多孔質になり釉薬を吸着しやすくするのが目的です。本焼き(約1,200〜1,300℃)は、土を固く焼き締め、表面の釉薬を溶かしてガラス質で覆います。これにより強度と防水性が生まれます。
素焼きのまま使える器はありますか?
植木鉢や蚊遣りなど、一部は素焼きのまま使います。水を吸う性質を、そのまま利用しているためです。ただし食器は通常、本焼きまで行い、実用に耐える強度と防水性を持たせます。
素焼きを省くことはありますか?
あります。釉薬をかけない焼き締めの器では、素焼きを行わず一度の焼成で仕上げることがあります。また量産の現場では、コストと時間を抑えるため、生の素地に直接釉をかけて一度で焼く「生掛け(なまがけ)」という方法もあります。ただし素地が水を吸いすぎて崩れるリスクがあり、扱いには熟練が要ります。

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