工房 いちらん陶房|宮崎で、釉のゆらぎを景色として焼く

いちらん陶房の器には、いつも何かの景色が根付いています。青の景色、緑の景色、白と黒のあわい、夜の余韻。釉薬の流れたところ、濃く溜まったところ、薄く抜けたところ。それを風景として見るところから、この陶房の仕事は始まっています。
宮崎県で夫婦ふたりが営む陶房です。作っているのは、特別な日の器ではありません。毎朝使うフリーカップと、夜に一杯だけ注ぐぐい呑みです。
産地の様式を背負っていません。丹波で学び、宮崎で独立した。だから「宮崎の器とはこういうもの」という枠がありません。自分たちが見てきた風景だけが基準になっています。
nokazeではいちらん陶房の器をお預かりしています。
丹波で学び、宮崎でつくる
陶房を構えた大槻一仁氏は、京都府の出身です。陶芸を学んだのは兵庫県の丹波篠山、丹波焼の産地でした。日本六古窯のひとつで、八百年にわたって自然釉の器を焼いてきた土地です。そこで4年間。
そのあと移ったのが宮崎でした。丹波のように長い歴史を持つ窯業地ではありません。産地としての作法が無い場所を選んだということでもあります。いまは夫婦ふたりで、宮崎で作陶しています。
陶房の言葉を借りると、目指しているのはこういう器です。
「手にしたときの心地よさや、毎日の暮らしに自然と馴染む器を大切に、一つひとつ丁寧に制作しています。自然の風景や季節の移ろいから受けた印象を大切にし、料理やお酒の時間が少し豊かになるような器を目指しています」
「少し豊かになる」という言い方に、この陶房の姿勢が出ています。料理とお酒があって、その時間が少しだけよくしてくれるようなマグカップや酒器、食卓を彩る花器などさまざまな作品を作られています。

釉薬を、景色として扱う
いちらん陶房の作品には、作品名にどのような景色を表現したかが描かれています。
-
青の景色・緑の景色 一色で塗りつぶさず、濃淡が残るように釉をかけています。器の中でも釉薬のかかり方が異なり、違った作風を感じることができます。
- 線の景色 しのぎで削った稜線に釉が溜まり、線そのものの濃淡を楽しむことができます。
- 夜の余韻・黒のゆらぎ 黒。光の当たり方で表情が変わる、深い黒が光によって見え方を変える。そのようなゆらぎの楽しみを感じることができます。
どれも、焼成するまでどのような景色になるかわかりません。釉薬は、かけた時点の色と焼き上がりの色が違います。溶けて流れ、溜まり、薄いところでは下の土が透ける。そのように一点ずつの唯一無二の作品が生まれるのです。
面取りの器もあります。丸く挽いた器の側面を削って平らな面を作る技法で、面取りの角に釉が薄くかかると、そこだけ色が変わります。かたちと色が同時に決まる作り方です。

いちらん陶房の作品をシーンごとに楽しむ
宮崎は焼酎の土地です。ぐい呑みもフリーカップも、冷やしたものを注いでそのまま手で持つ大きさに作られています。酒器は食卓を邪魔せず、自分だけの楽しみを楽しみやすいカテゴリです。普段自分が買わないような作風を買ってみても良いです。
白と黒のあわいの飯碗は、ごはんが白く映えます。黒の器に白米をよそうと、粒がひとつずつ見えてくる。
青と緑の景色のマグは、朝の光が入る場所に置くと釉の濃淡が動いて見えます。
器そのものが強く主張しないので、白い器や黒い器と混ぜても食卓がまとまります。シリーズで揃えなくてもいい、という使い方ができる器です。

いちらん陶房の作品の手入れ
いちらん陶房の作品の素材は陶器です。電子レンジと食洗機は条件つき、オーブンは不可です。
短時間の温め直しは問題ありませんが、冷凍から一気に加熱するのは避けてください。食洗機も、毎日続けるより手洗いのほうが長持ちします。使い始めに目止めをしておくと、油染みが入りにくくなります。
お手入れの方法をしっかり確認した上で、ぜひ長くあなただけの一点をお楽しみください。
関連記事
技法と素材
産地と器種
いちらん陶房の器
いちらん陶房のさまざまなカテゴリの作品をお預かりしています。一点ものなので、同じシリーズでも釉の流れ方がひとつずつ違います。ぜひ気に入ったものがあれば、すぐにお手に取りください。
作品を見るこの記事の器を買う
大槻 一仁
21点 すべて見る日本の器をはじめから知りたい方へ。歴史、陶器と磁器の違い、素材、手入れまでを一本にまとめています。→ 日本の器・完全ガイド|はじめての一枚から歴史まで