備前
備前は、釉薬をまったく使いません。表面に見えるものはすべて、二週間ほど焚き続けた窯のなかで、火と灰と藁がつくったものです。
ここに並ぶのは、備前の窯で焼かれた器です。炎が運んだ灰が肩で溶けて、胡麻を振ったように残るもの。藁を巻いて焼いたところに、作り手にも読みきれない赤い線が走るもの。窯の置き場所と炎の通り道が違えば、同じ土から別の景色が出ます。届いた日からも、使うほどにゆっくり艶が乗っていきます。
備前は日本六古窯のひとつで、千年近く同じ焼き方を続けてきました。1,200度以上で二週間かけて焼き締めるので、釉をかけなくても土そのものが水を通しません。藁の跡に残る赤い線が緋襷で、藁の塩分と鉄分が反応して出る色です。灰が溶けたものが自然釉で、止まる位置が一点ずつ違います。酒器に選ばれてきた理由は備前焼とはにまとめました。
