銀継ぎとは|金継ぎとの違いと、銀が黒くなるまで

銀継ぎ(ぎんつぎ)は、割れや欠けを漆で接いで、最後の仕上げを銀の粉で行う直し方です。
金を使えば金継ぎ、銀を使えば銀継ぎ。違うのは最後にのせる金属だけで、そこまでの工程はまったく同じです。
金継ぎとの違いは、最後の一手間だけ
どちらも本漆で直します。漆で接ぎ、漆で埋め、漆を塗り重ね、最後に金属の粉を蒔く。金属を蒔くまでのすべてが共通です。
| 項目 | 金継ぎ | 銀継ぎ |
|---|---|---|
| 接着・充填 | 本漆 | 本漆(同じ) |
| 仕上げの粉 | 金粉 | 銀粉 |
| 見え方 | 線がはっきり立つ | 白に近く、器になじむ |
| 経年変化 | ほとんど変わらない | 白→灰→黒へ沈む |
| 費用 | 高い | 抑えられる |
仕上げに何を使っても、接いだ強度は変わりません。強さを決めているのは漆であって、上にのせた金属ではないからです。銀を選ぶのは弱い選択ではありません。
銀は黒くなる。そして、戻る
銀継ぎでいちばん誤解されるのがここです。
銀は空気や水に触れると硫化して、白から灰色、やがて黒へと変わります。直した直後のいちばん明るい状態は、長くは続きません。
ただし、これは劣化ではありません。
- 磨き直せば光沢は戻る 黒くなった銀は磨きなおすことができます。元の白さに近いところまで戻ります。
- 銀だけ蒔き直せる どうしても戻らなければ、下地の漆はそのままに、銀だけを蒔き直すこともできます。
- 沈んだ色を良しとする見方もある 黒く落ち着いた銀は、渋くなったと表現されます。器が育つのと同じで、時間が入った状態として受け取られます。
変わることを前提に選ぶ。それが銀継ぎとのつきあい方です。経年美化という言葉は、直した線にもあてはまります。
仕上げの種類
継ぎの仕上げは金と銀だけではありません。
| 仕上げ | 性格 |
|---|---|
| 金 | いちばん明るく、線がはっきり出る。費用も最も高い |
| 銀 | 白にもっとも近い。時間とともに渋くなる |
| プラチナ | 灰色に近い。銀と違って変色しない |
| 錫 | 粒子が荒く、触るとざらつきが残る |
| 色漆 | 金属を蒔かず、黒呂色漆や弁柄漆で仕上げる |
変色させたくないならプラチナ、器に線を目立たせたくないなら色漆。銀はその中間で、明るさと落ち着きの両方をいちばん長く楽しめる仕上げです。
銀継ぎが向いている器
- 白い器 白磁や粉引のような白い肌には、金より銀のほうが線が浮きません。
- 青や灰の釉 青磁や灰釉のように寒色寄りの釉には、銀の白が素直に合います。
- 毎日使う器 金より費用が抑えられるので、飾るためではなく使い続けるための直しに向いています。
- 直した跡を主役にしたくないとき 金継ぎは割れを見せる直しですが、銀継ぎはもう少し静かです。
直したあとの扱い
継いだ器には共通の約束があります。
- 食洗機と電子レンジは使わない 仕上げが金でも銀でも、下地は漆です。熱と洗剤で傷みます。
- 洗うのは手で、やわらかいもので 研磨剤や金属たわしは、蒔いた金属を削ってしまいます。
- 長く水に浸けない 銀の黒ずみが早く進みます。洗ったらすぐ拭いてください。
器そのものの扱いは和食器の手入れに、土の器の場合は陶器の手入れにまとめています。
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